BCLプリセレクターの設計と製作 その5 SDR#でフィルタの調整 RTLで調整

先週のフィルタの調整で、SDR#とゲイン設定や、デシメーション機能の付いたドライバ(modrtlsdr)で、フィルタを調整しました。今回は、フィルタの調整にリターンロス(S11)による方法を紹介します。
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フィルタは、特性インピーダンスを指定して設計します。使う場合は、通過(振幅)特性(S21)を利用します。しかし、多くのコイルやコンデンサが付いていると、調整するのが大変です。フィルタの調整方法は多数ありますが、今回は入力のインピーダンスを設計通りに合せ込む方法です。
左側が、スペアナ+トラジェネの波形です。右は、信号源をノイズジェネレータとして、リターンロスブリッジの出力をSDR#で観測した波形です。

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調整後の振幅特性は、左がスペアナ、左がSDR#です。結構良い感じに調整できました。
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容量可変コンデンサの電圧を変更して、設計周波数範囲の特性も参考に掲載します。

調整手順の説明
リターンロスブリッジ(RLB)は、沢山の製作例がありますので、ここでは省略します。

1.接続
 リターンロスブリッジの信号源として、ノイズジェネレータを使います。
 測定対象のフィルタを、RLBの測定端子に接続します。フィルタの出力は、終端抵抗を接続してあります。
 RLBの検出端子にRTL-SDRドングル+HFコンバータを接続します。

2.ドライバの設定
  ドライバは、AGCをOFFにして、VGAゲインを最小にして、LNAゲインで表示が見やすいように設定します。ゲインが不足している場合には、ミキサのゲインを上げてください。(それでも不足する場合は、VGAゲインを上げます。ただしVGAゲインを上げると、スペクトラムのダイナミックレンジが減少します。
  特に注意したいのが、スペクトルを細かく見たいので、ドライバの設定で、デシメーションを出来るだけ大きく設定してください。デシメーションの倍率分表示帯域が狭くなりますので、サンプリング速度は最大にしてください。今回のフィルタは、1MHz以下の帯域幅なので、デシメーションは、2か4にします。
  次に、調整ができる範囲で、SDR#のFFTディスプレイの設定で、Sアタック、Sディケイを左側にスライドさせてください。これで、波形の細かい所が見易くなります。(WアタックとWディケイも調整して見てください。)
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3.フィルターの調整手順
  a:最初にある程度、振幅特性を合わせておくと、調整がやり易いと思います。最初がでたらめだと後で苦労します。

  b:リターンロスの画面を見ながら、最初に、外側の同調回路から調整します。信号源側から調整してください。リターンロスが目的周波数付近で最小となるようにします。フィルタの入出力の接続を切替えて、反対側の同調を調整します。この時に、調整が最終段階となると、複数のディップ点が表れます。

  c:両端の同調が調整できたら、内側の同調を合わせます。この時、少しずつ調整してください。調整すると、隣の調整点もずれますので、再調整が必要になります。これを、繰り返してください。

  d:最終段階の判断、3エレメント以上のフィルタで、帯域が広いフィルタを調整すると、帯域の中に複数のディップが見えると思います。この時、フィルタの中心周波数(電気的中心周波数)の上下に対称な特性となるように調整してください。この調整の結果が最初の画像です。少し高い周波数にずれていますが、これは、上限と下限の周波数での特性が許容できるように妥協した結果です。固定周波数のフィルタの場合は、対称に調整すると、振幅特性が最良になります。

フィルタは、LPFフィルタから、HPF、BPF、BEFに変換して設計するようです。調整に、RLBを使うと、以外に簡単に調整できます。事前に、シミュレーションで、リターンロスを見ておくと便利です。
フィルタ設計に、SONETを使ってみましたが、シミュレーション特性を表示させると、デフォルトで、S11が表示されます。S21は、追加しないと表示されません。S11を見ながら設計を進めてゆくと、間違い無く完成まで到達します。調整も同じ手順で行いました。

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この記事へのコメント

TT@北海道
2015年03月15日 07:14
なるほど! RLBで調整するとディップの位置で判断できるので、調整し易そうです。それと、下手な信号源を使うより、ノイズソースのほうが受信機を使う場合は良さそうですね。今回も参考になりました!
TOSHI
2015年03月15日 10:41
TT@北海道さま
コメントありがとうございます。BPFの調整方法については解り易く解説したのを見たことが無かったので、とりあえず書いてみました。RLBが無くても、50MHz以下であれば、終端したフィルタの入力端子の電圧をFETプローブや、微小容量カップリングで受信してもOKだと思います(S11=(2*Vin)-1と同じなので)。ちなみにHPのVNAを使った時間ドメインに変換した調整方法が以下の文書に載っています。
http://literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5980-2785JA.pdf
今後ともよろしくお願い致します。

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