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zoom RSS 2SC1815 データシートの謎 (いまさら) 2018/1/28追記

<<   作成日時 : 2018/01/20 15:02   >>

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今回は、昔から、謎に思っていることを書いてみます。2SC1815のデータシートは、今まで何回か改定されているが、グラフの元データは、ちょっと見ると変わっていないように見えます。
例えば、1997年の、ベース・エミッタ間のダイオード特性は
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見た目が変わっていない、2002年のデータシートから、Excelで、グラフのデータを拾ってみました。
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Excelの
グラフは、VBEの横軸を、2種類にしてあります。SPICEでは、このグラフから、ダイオードの順方向飽和電流を読み取るます。(このグラフからは、IS=3E-16程度と判断できます。)と、簡単に言えないのです。実は、細かく見ると、25℃のグラフの曲線だけが、両側の100℃、−25℃と大きく異なっています。手持ちの、昔の紙のデータシートを見てみましたが、やはり、ベース電流が、1uAから10uAの範囲のデータが、温度が高い方にずれています。2SC732のデータシートでは、このような事はなかったのですが、測定を間違えたのでしょうか?
それにしても、10年以上も、誰もこの事を指摘しなかったのでしょうか? データシートから、SPICEのデバイスモデルを作成する人がいれば、誰かが気付いたと思うのですが・・・・
実は、昔、データシートから、トレーシングペーパーの方眼目盛で値を読んでいた時には、自分の読み間違いだと思っていました。先週に、改めて、Excelを使って検討してみて、この事に気付いたのでした。
先週に記事では、BJTのNFについて記述していますが、本来は、飽和電流:ISについて述べるつもりだったのです。
でも、できませんでした。温度25℃のデータが、計算値と合わなかったからです。
さて、何が正しいのでしょうか?

結論を出さずに、今回も終わりです。これから。お買いものです。

2018年1月28日追記

あまりに中途半端な内容になってしまったので、追記します。

VBEとIBの伝達特性のグラフは、他の影響を受けなければ、ベース・エミッタ間のダイオード特性そのものです。シリコンP-N接合のダイオード、順方向特性は、殆どの範囲で、指数関数特性です。通常のデータシートに記載する範囲で、微小電流領域の再結合電流が観測できるようにはなりません(きっぱり)。従って、ベース抵抗やエミッタ抵抗が測定結果に影響するような大電流領域の影響を除けば、、グラフは、片対数で、直線になるはずです。また、順方向電流エミッション係数(NF)は、”1”として考えます。
ここで、熱電圧(VT)をボルツマン定数と、電気素量(老人向け)、温度(25℃)から、約25.7mV(逆数 = 38.92)を使って、ダイオードの順方向電流を考えてみます。飽和電流(IS)をディケード単位に変化したグラフを作成すると:
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このように、再結合電流が観測されない領域では、グラフは直線になります。
計算式は、IB = IS × EXP ( VBE / VT )  : (1/VT)=38.92@25℃
このグラフから、最初の、2SC1815の特性を考えてみます。
最初に、VBEの飽和電圧特性で考えてみます。コレクタ電流とベース電流の比が、10倍なので、コレクタ電流が、0.1mAから3mAの範囲で考えると、VBEは、0.61Vから0.68Vの範囲です。計算してみると、飽和電流(IS)は、5E-16(A)〜1E-14(A)の範囲にあるようです。実測から見た、ISは、2E-16(A)程度のようです。温度を一定にした厳密な測定が難しいので、実用的な範囲で、20fA〜80fA程度が良さそうです。
飽和電流は、ベース領域の構造や、ドーピング濃度によって大きく異なります。例えば、高周波特性を良くしようとすると、ベース領域のキャリアの走行時間を短くしたいので、ベースの厚さを薄くしなければなりません。従って、耐電圧が低下するのですが、ISは、0.1fA程度まで小さくなる傾向があります。(結果として、VBEは高くなる)。逆に、大電流を流したいとすると、エミッタの構造を検討して、出力インピーダンスを下げる方向で設計します。当然、PN接合の面積が増加するので、ISは、1pA程度まで、増加するような傾向があります。バイポーラ接合トランジスタは、ベース電流を流すことによって、フェルミ準位を下げて、コレクタとエミッタ間に大きな電流を流す素子です。デバイスを設計するときに、目的の特性を出せるように、ベース領域の構造が決定されます。
参考までに、測定値を、次の条件で補正した結果を、グラフにしてみました。条件:NF=1、微小2点間の測定値の微分(傾斜)から、チップの温度を推定して、ここから逆に、25℃の値に補正してみました。
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この値と、元のデータシートの図形を合わせてみると、トレースが曲がっている部分を無視すれば、かなり一致するように見えます。

データシートを使って、SPICEモデルを簡単に作成できると思って、書き始めたのですが、データシートの微妙なところで、躓いてしまいました。このような、例は、有名なトランジスタにも存在します。例えば、2SC1815の前に、流行した、2SC458(足のメッキの影響で問題になったような気がする)でも、データシートのVBE-IC特性は、低電流領域の曲がりがおかしいようです。 見難いですが、2000年頃のデータシートに、赤で、計算上の曲線を記載しています。
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「IS*hfe=8.5E-17」と計算されて、hFEで補正すると、6E-15(A)それなら、もう少しhFE特性が良くてもと思うのですが・・・、まあ、低温プロセスで、ローノーズが売りのトランジスタだったので(TO-92になってからはローノイズ版は無く、特性もデータシートとは大きく異なる他のチップを使ったように見える)足のメッキによる劣化故障が無ければ、今でも通用すると思います。(TO-92になって、hFEの電流依存が無くなったような記憶がある、発振回路に使って、電流をケチったりすると発振の起動特性が問題になったような・・・)

それより前の、2SC372は、まじめに特性を測定して、データシートも良くレビューされているようです。
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データシートから計算した、飽和電流(IS)は、3.446E-17(A)となりました。
エピタキシャル構造の初期のトランジスタなので、データシートを作成するエンジニアも、半導体の特性を良く知っていたのだと思われます。

年寄は、データシートを読むのも結構楽しい作業なのです。実際に、データシート作成の現場を見たこともあります、グラフ等は、トレーサに専用ツールでグラフを作成してもらって、出来上がりえをチェックして、出稿になります。良く確認しないで発行されたデータシートも結構あるようです。また、グラフツールが使いこなせなくて、正しくフィッティングできなかた事もありました。
しかし、誰も、指摘されずに、一生を終えて行く、データシートも、ちょっと可哀そうな気がします。

おわり(合掌)

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