R820T2についての考察

11月30日にR820TのRF特性を測定しました。1GHz以上の領域になると、R820Tの入力マッチング回路の影響で、感度が低下して行きます。 最近になって、DVB-T2に対応した、R820T2の記事を見かけるようになりました。
公開されている記事を参照しながら、特性について考察してみました。
忙しいので、文字のみです。
DVB-Tに比べてDVB-T2に規格は、日本のワンセグとフルセグといった表現に近い理解でも良いかも知れません、厳密には、大きく異なりますが・・・
現在のT2規格を採用しているテレビ放送は、チャンネル帯域幅が、6MHzから7MHzの範囲(8MHzは見つからない)で採用されているようです。これに対応するチューナーフロントエンドとして、R820T2が出荷されているようです。
R820Tでも、対応周波数範囲、中間周波数帯域共に仕様を満足していました。

そこで、R820T2について、改善すると仮定すると、以下の可能性があります。
1.R820TのIF帯域幅8MHzを保証した選別品
2.LNAのトラッキングフィルター以前の特性を改善した改良品
3.DVB-T2用に、再設計した兄弟製品
(ラファエルの製品系列には、T仕様とT2仕様が最初から出荷されているように見えます。)

選別品の可能性について、これだけ安い半導体を選別しても、採用する企業もまがりなりにもプロなので、選別コスト分の上乗せを許容するとは思えません。殆どが実用に耐えられる設計であれば、仕様外のLSIでも、どうにか使えると思われます。

そこで、2と3について推測してみます。

2の、LNA部分の応答特性は、半導体パッケージに依存する部分が大きく、内部設計で対応するのは難しいと思われます。しかし、ADS-B(1GHz以上)の特性が顕著に改善していると報告されている事を根拠とするならば、LNAの入力ロジックの小変更はあるかもしれません。入力インピーダンスを、少し高めに設計するとか、入力の保護回路のダイオードの特性や回路を変更して、入力容量を小さくする等の改善はあるように思われます。アナデバやマキシムでも、高周波用パッケージの入力容量を、従来の半分にした製品があります。

次に、600MHz以下の領域について、改善の可能性を検討してみます。DVB-T2の放送用のLSIにとって、重要な仕様は何でしょうか?
私は、ガードバンド外の隣接チャンネルからの折り返しノイズの低減だと思います。DVB-Tの上位規格として、T2規格は、ハイレゾ映像を2プログラム同時に送信可能な、地デジでもっとも普及している放送規格です。電波の状態が悪化しても、最低限の視聴が可能なようです。
R820T2に変更した記事を見ると、受信信号自体の利得やS/Nの改善は無いようです。しかし、スペクトラム波形を詳細に見ると、折り返しノイズが少なくなっていることがあるようです。(全ての場合に当てはまりませんが)
帯域外に、周期性がある強力な信号が存在すると、受信帯域内に、ウネリのようなノイズになります。

R820TのIF帯域幅の外側にある強力な放送波の影響は、IFフィルターの特性で決まります。ここは、FIR型フィルターの段数を増やして、近接ノイズを低減させるのが常套手段と考えられます。回路の変更は最小限で効果は抜群です。ただし、SDRとして利用する場合、サンプリング帯域が広い場合には、大きな効果が得られますが、IF帯域より狭いサンプリングでは、影響の低減が期待できません。AirSpyのように、広帯域サンプリングでは良い特性が得られるものの、狭い帯域にした場合には、効果が出にくいように思われます。(サンプリング速度を落とすと、内部のクロックノイズが顕著に見えるようです。)

本当は、ハードウェアよりは、SDRソフトのドライバーで、サンプリング中の、デシメーション処理の改善と、FIRフィルター処理の組み合わせで、折り返しノイズの最小限に出来れば、改良の可能性はあるのですが・・・
デシメーションには、簡単な「セロ挿入」と、「中間補間」があり、「ゼロ挿入」では、折り返し成分が、隣接しているので、フィルターで完全に取り除くことができません。この他にも、8ビットの分解能を見かけ、向上させる、ディザ手法もあります。(デシメーションする元データに分解能以下のノイズ成分を付加するような手法です)

結論として、R820T2については、LNA部分の改良と、IFフィルターの特性改善が主たる改善点と思います。

T820TのNFは3.5dBと言われています(全ての帯域ではありませんが)。NFとは、受信にとって、改善できない、固定アッテネータのような物です。従って、どんなに頑張ってもこれ以上、良くなることはありません。
同じ周波数関係(帯域幅や温度を含む)のまま、NF3.5dBのフロントエンドLSIを交換しただけで、全ての周波数帯域で、3dBの特性改善が期待できるとは思えません。

ADS-Bの受信については、改善する可能性は、あります。(期待できそう?)
他の帯域の受信については、なるべく広いサンプリング帯域で使うのが良さそうです。
アンテナによる、フィルター効果、フロントに入れるバンドパスフィルターなどの工夫と組み合わせて、結果として、折り返しノイズの低減を期待するのが吉ではなかろうかと思います。

しかし、こんなに安く、受信環境が構築できるのはありがたいことです。

全て、実物が無く、推定のみなので、内容は保証しません。

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この記事へのコメント

2014年12月26日 17:03
ご無沙汰しています R820T2の所見 拝見しました。 私は、T2を購入しようか迷っていましたが 見送りました。私が使っているR820Tは、RFゲインを下げて 外付けFILTER+LNAですが、感度に関しては特に気になりません。このICは、結構良く出来てるICだと思うのですが、受信機のフロントエンドとして考えるとお値段並みですね。 貴重な情報有難うございました。 
TOSHI
2014年12月27日 07:23
おはようございます。今日も仕事です。
R820T2は、ADS-Bには効果があるようです。アンテナやプリアンプ無しで受信が改善するのであれば、有効な選択だと思います。
柴さまのような技術のある方にとっては、違いを理解して対処出来るので、コメント通りの対応も正しいと思います。
私は、もう少し様子を見たいと思います。
コメントありがとうございます。

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